2017年3月14日火曜日

冨田勲「ドクターコッペリアス」公演と3Dホログラム

 尊敬する故冨田勲先生の遺作「ドクター・コッペリウス」。11月の渋谷公演に続いて、4月にすみだトリフォニーホールにて、新日本フィルハーモニー交響楽団による再演が発表されていましたが、突然の延期となりました。代替え公演として、4月19日に生誕85周年記念としてアニメ交響詩「ジャングル大帝」が演奏されます。

 延期の理由については、技術的な課題とされていますが、だったら11月の公演は何だったんでしょうか。まあ、初音ミクよりもジャングル大帝の方がチケット売れそう・・・、なんて勘ぐりもしましたが、冨田勲先生のブランド力で、何をやってもコンサートホールは、満席になるでしょうから、中止の裏には、何かあったのかなって思います。

 製作ドキュメンタリーの動画があります。


 変形する布状のスクリーンが紹介されていましたね。あれ、最初見たときは、スピーカーかと思いましたよ。何を映していたか思い出せないんですけど、劇的な演出効果ってほどでもなかったですね。まあ、スクリーンを変形させるというチャレンジは、大いに評価したいと思いますが、効果的な使い方となるとまだまだ検討の余地があるようです。

 それから、CG製作風景が紹介されています。モーションキャプチャーの様子が出ていましたけど、ミクのライブ映像もああやって作っているのだと思います。

 で、バレエダンサーさんと共演する映像についてです。

 以前にも、感想を書かせていただきましたが、あれは酷い物でした。やっぱり3Dホログラムだったんですね。それを斜めに設置した鏡に反射させていたようです。

 時々、誤解されるんですけど、ライブでの初音ミクの映像は、3Dじゃありませんし、ホログラムでもありません。レーザープロジェクターで映し出された2Dです。それを透過型のディラッドスクリーンに映すことで、スクリーンの向こう側を見せ、奥行きと立体感を出している。つまり、ポイントは、プロジェクターでなくってスクリーンの側にあります。
 それに対して、ホログラムは、投影装置そのものにポイントがあります。バーチャル技術としては、3Dホログラムの方が優れていますが、問題は映像の大きさです。コンサートホールで、観衆に向かって、等身大の女の子の映像を滑らかに、尚且つ鮮明に映し出すということは、現在のホログラム技術でも難しいようです。映像が不鮮明であるために、結果的に立体感など微塵も感じられません。
 このことが再演延期の理由では無いと思いますが、この問題の解決はかなり困難かと思います。もちろんチャレンジする価値は大いにありますから、是非とも頑張って欲しいです。

 このCG映像を見て、改めて思ったことは、ディラッドスクリーンの有用性です。複数の高輝度レーザープロジェクターを使い、スクリーンに二重三重に重ねて映し出される映像は、武道館や横浜アリーナなどの大型施設でも有効であることが証明されていますからね。
 お店のショーウィンドーやビルの窓などに設置できる投影装置として、街中でもっともっと活躍して欲しいです。

 ただ、「初音ミク」と云うのは、あくまでも歌うシステムであって、CG技術ではありません。ですから、本当は、オーケストラに合わせて歌うソリストとしての歌唱が、どうであったのかを語るべきなんですよね。
 で、この点についてどうだったのかと云えば、「・・・・・」って感じですね。このコンサートに限った話ではないのですけど、どうも歌わせているキーが高いように感じます。この娘の良さが出てくる音域ってもう少し下の方にあるんじゃないかって思います。これだとキンキンした歌声にしか聞こえないんですよね。初音ミクは、ソプラノ歌手に非ずってところでしょうか。まあ、これは僕がオジさんだからってことも関係あるかも知れません。

 で、4月の生誕85周年記念公演、関心はありますが、今のところ参戦する予定はありません。「イーハトーブ交響曲」と「ジャングル大帝」の二本立てなら最高なんですけどね。で、アンコールに、「マイティジャック」とか「青い地球は誰のもの」とかの懐かしのテレビテーマソングとかやってくれたら、号泣ものなんですけど・・・。

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